不安障害とは
不安は、日常生活の様々な場面で生じる感情です。しかし、不安が強くなり、動悸や息苦しさ、発汗などを伴い、日常生活や社会生活に支障が出てしまうことを、不安障害と言います。
不安障害は、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、広場恐怖症、全般性不安障害などが含まれます。
不安の出現の仕方によって、主に3つに分類されます。1つ目は、パニック障害であり、突然に不安が出現するものです。いつどこで不安になるか予知することが困難です。
2つ目は、社交不安障害、広場恐怖症であり、特定の空間や状況で不安が起こります。3つ目は、全般性不安障害であり、不安の程度は軽いですが、状況や理由の定まらない心配や気苦労が持続します。
ここでは、よく見受けられる社交不安障害と全般性不安障害についてご説明いたします。パニック障害、強迫性障害については、別項目で取り扱っています。
社会不安障害とは
人の注目を一身に集めるような場面や人前に出ることなどに恐怖を感じ、また恥をかきそうな場面を恐れるあまり、人前で行動する際は過剰に緊張し、苦痛を覚える方もおられることでしょう。
ただこのような非常に強い緊張だけでなく、動悸、手足のふるえ、吐き気・嘔吐、発汗、息苦しさなどの症状が現れることで人前に出ることを極端に避けてしまい、日常生活に支障をきたすようになると、それは社会不安障害と診断される場合があります。
公共の場で以下のような症状がみられる方はご相談ください
- 異常に緊張する
- 手足、全身、声の震えが出る
- 顔が赤くほてる
- 脈が速くなり、息苦しくなる
- いつもよりたくさんの汗をかく
- 繰り返し吐き気がする
- 口がカラカラに渇く
- トイレが近くなる、または尿が出なくなる
- めまいがする など
全般性不安障害とは
不安がどのような場面で起こるのか、状況は特定できず、理由もはっきりしない不安や心配が持続するのが特徴です。不安の対象は、自分自身や家族のこと、仕事や経済、健康面のことなど様々で「もし〜だったらどうしよう」とモヤモヤが晴れません。
女性は男性に比べて約2倍発症しやすいとされています。35歳未満の若い世代の方が多いですが、どの年齢でも発症する可能性があります。女性に多いのは、ホルモンバランスの変化や、社会的に期待される性的役割によるストレスなどに原因があると考えられています。
以下のような症状がみられる方はご相談ください
- 漠然とした不安が続いている
- 些細なことが心配になる
- 不安や心配が強く自分をコントロールできない
- 落ち着きがなく、緊張したり、過敏になる
- 疲れやすい
- 集中できない
- 肩こりなど筋肉が緊張している
- 発汗、手の震え、めまいなどがある
- 眠れない、または熟睡した感じがしない
神経伝達物質の不足が関係
発症の原因としては、不安や恐怖を抑える働きがあるとされる神経伝達物質「セロトニン」の不足が考えられています。また、過去に人前で恥ずかしい経験をしたことがあるなどの「経験的要因」、他人の目を気にし過ぎる、人見知りなどの「性格的要因」、その他「遺伝的要因」などが関与しています。
治療について
薬物療法と認知行動療法などの精神療法が治療の中心で、どちらも併用することで効果は高くなると言われています。